Life and Works
生業
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2001/09/25
寒い朝です
前日の日中の最高温度は23℃前後
大気が乾燥して風もなく、放射冷却がきつ過ぎました。
翌朝の最低気温は9.3℃平年の最低温度が15〜16℃ですから寒いわけです。
ここ2、3日こんな天気で茄子もあまり切れません。
9月としてはめったにない冷え込みです。
明日朝はもう少し寒さも緩みそうですが…。
農業は自然に大きく左右される職業です。
台風や暑さ寒さだけでなく、普段暮らしているだけでは気にも止めない
気象の変化をいかに先に予想し対策を立てるかによって、
収益は当然のことながら違ってきます。
しかしそれも時の運。
気温、地温、大気の流れ、土壌と植物の生理等
何万の条件を総合して農業は成り立っているのでしょう。
完璧などあり得ません。一生が勉強の毎日です。
誰でも出来そうですが、思った結果を出すのはそうたやすいことではありません。
理論、理屈は博士に任せて体力と知恵と勘(98.5%はデータです)で
一年の糧を得ます。
「丹精こめて作っているのが良く分かります」とのメールを多く頂きます
私は、旧来の篤農家とはいい難い面があります。
草生栽培というより手が回らないだけかも…。
面積も大きくなると、植物の生理に逆らわずポイントとタイミングを押さえた抑制、
防除、肥培管理、収穫等によって如何に手を抜きつつイメージ通りの結果を導くかが
新篤農家の真骨頂です。
農作物(ことに露地栽培)は品評会のようなものです。
畑で制作するわけですから、誰の目にも映ります。
私の栽培管理を見る限り中途では最終的な結果を誰も想像出来ない様子です。
しかし近頃ではまわりも慣れてきて、当園の状況を見ながら話題になることも多いようです
「まだ桃のシルバーを敷かないのは何か理由があるのだろう」
「茄子のネットとテープを遅らせるのは何か理由があるのだろう」
「消毒回数が少ないのは何故なんだ」
今年も桃と茄子の重なる時期にストレートに聞かれました。
返答の前に「忙しいんだよね、ね。」と言われてしまいましたが…。(^o^)
除袋の時期には放送しなさいとも…。
もちろん私も同じ環境、条件の中で栽培している近隣のものが
一番参考になります。農作物は隠すことは出来ません。
一人ではなにも出来ないのが人間です。百姓もそうです。
ただ家業を継いだ百姓になるか、経済追求的な百姓になるか、
芸術的な百姓になるか。私の場合は…やはり職人かな・・という気がします。
総合的な作品の追求なのかな…。
それが私の生業です。
「秋茄子は嫁に食わすな」と言う諺についての
メールを多く頂きます。
確かにそれほど美味しいという表現には賛成ですが…。
この最も広く知られたこの諺は『夫木和歌抄』に
「秋なすび わささの粕につけまぜて、よめにはくれじ、棚に置くとも」
と詠われたものに起因するようです。本来、秋茄子を新酒の粕に漬けて
熟れるまで棚の上においてよめ(夜目)=ねずみに食われないように
気を付けなければならないという意味に解釈するのがもっとも自然のようです。
いつの頃からか、美味しい秋茄子を嫁には食わすなという嫁いびりの意に転じたり
秋茄子には種子が少ないので子種がなくなると困る、
また、食べ過ぎてお腹を冷やさないようにという
親心から生まれた諺とされるようになったそうです。
秋茄子に関する諺でもうひとつ良く知られているのが
「親の意見となすびの花は、千に一つの無駄もない」
という諺です。
これは、正確にいうと間違いです。
天候、樹勢によってムダ花(落花)も出ます。
親の意見も中にはムダがあるかもしれません…。(^^ゞ
と言うより一般的に子供にちゃんと意見できる親が少なくなった…
と、思うのですが…。
花と茄子です。