この物語は農村における日常の詩を綴ったものです。
あなたの心に・・・・
愛(笑)をお届けします。。。
プロローグ
時は今から600年前、2001年12月獅子座流星群が日本で絶好の観測地となった年である
発見された古CD−Rは、その前後に記述された物と思われる。
これらの記述が事実とすれば、今や滅亡した農耕文化の最先端に位置していたであろう善籐区文明。その絶頂期の様子が克明に記されている。
獅子座流星群
その時、地球防衛軍隊員
とーしろー“スカイウォーカー”は
寝ていた。
撮影・国際天体写真家協会・敷島支部理事長
当時、AU (Asian Union)統合前の日本は完全失業率が1953年の調査開始以来、過去最悪の5・5%に達していた。一見まるで無関係のようにみえる平和なFram village だったが、その日本経済の失墜ぶりは、いずれはこの農村にも暗い影を落とし始めるだろうことは容易に想像できる。
しかし、スカイウォーカーは何もせず(出来ず)ただ日常をつづった…
いきなし
日々
- 2001/12/30
今年の6月にサイトを開局したが、更新の辛さとネタ切れに悩んでいる。
新年に何かUPしなければ…
苦し紛れにでたコンテンツはまたもや日常だった。
風景
- じじ走り。。。
農道を走る軽トラは遅い。ほとんど、電気三輪車と変わらないスピードである。
運転手は、そもそも前を見ていない。とーぜん後ろなど見るわけが無い。
で、何処を見ているのか、横である。
それぞれの他所の畑の様子、仕事具合などを眺めているのである。
30メートルぐらい前から走ってくる軽トラのドライバーと畑に居ながら手を休め
ワンコーラスぐらいの会話はじゅーぶん出来る。
ギアはローだけあれば良いし、ルームミラーなんぞ無くても良いだろう。
シルバーマークのワッペンが貼ってあれば恐いもの無しである。
最近、私もそうなりつつあり、気がつくと乗用車で国道はおろか、
高速道路でじじ走りに近い走行をしているのに驚くことがある。
日常
- お、おばあちゃん…(T_T)
ウチの末娘、彩ちゃんの親友は近所のA子ちゃんである。
A子ちゃんは勉強もスポーツもバッチリ、何事にも果敢に挑戦する
チャレンジ精神旺盛な子だ。
そのA子ちゃんのおばあちゃんは70歳を越えたが
毎日、野良仕事をした上、勤めに出ているA子ちゃんのお母さんの代りに
家事もこなしている。
忙しい野良仕事と家事の両立は若いもんでもキツイのに
さぞかし大変だろう。
時々、A子ちゃんが彩ちゃんにおばあちゃんに関する
おもしろい情報を吹き込んでくれる。
その1
味噌汁に入れる乾燥「麩」は大体丸い。しかし「直方体の乾燥麩」という
珍しい代物があるらしい。好みの大きさに切って使うということだろう。
A子ちゃんのおばあちゃん、それを事もあろうに食パンと勘違いした。
バ「A子、このパン、美味しいよ。食べてみろし。(食べてごらん)」
A 「おばあちゃん!これ、パンじゃないよ!麩ジャン!」
バ「………どうりで……まずいと思った。」
A子ちゃん後日談
「水に浸けてからお使いくださいって説明書き読んだ時点で
フツー気が付きそうなもんだよねぇ。なのに、ビショビショの麩の上に
ジャムまで塗って出すんだよ……(T_T)」
ご愁傷様でした。
その2
X'mas イヴの夜、A子ちゃんはおかあさんと一緒に
手作りケーキを作って、キャンドルとシャンパンとケーキのロマンチックな
X'mas パーティー……にするはずだった。
A子ちゃんとおかあさんが手作りケーキの材料を持って台所に向かうと
そこには………お、おばあちゃんだぁ〜〜!
し、しかも、のし板で一生懸命、手打ちうどん作ってるぅ〜〜〜っ!
かくして、A子ちゃんのロマンチックなX'mas パーティーの夢は
「こたつとシャンパンとうどん」というおばあちゃんの斬新なセンスによって
見事に玉砕されたのであります。
ア〜〜メン……。
慣習
- 付き合い場
皆さんは田舎の「付き合い場」なるものをご存知か。
田舎の近所付き合いは、誠に複雑怪奇?…である。
中道町は県庁所在地の甲府市に隣接し、中央高速インターまで車で5分。
緑も多いし、生活するにはなかなか快適な環境である。
町は22区に分かれており、多い区では100軒以上ある。
我が善藤区は24軒。ずーっと昔から24軒で、増えも減りもしていない。
区は西上組、西下組、東上組、東下組に6軒づつ四等分されている。
その中で一軒一軒がそれぞれ違った「付き合い場」を持っている。
家によってその数は異なる。我が家は24軒中、13軒が付き合い場だ。
『付き合い場』とは、組に関係なく、両家の付き合いの深さに関係する。
手っ取り早い話、病気や入院の際、お見舞いに行くか、行かないか。
お葬式の時、一日の出労で済むか、三日かかるか。
お嫁さんの実家の親が亡くなった場合、焼香に出向くか、否か。
子どもが生まれた時、餅を配るか、否か……といった具合だ。
たとえ若いモンがいくら親しくしていても
『付き合い場』でなければお見舞いはしなくてよいのだ。
いや、「してはいけない」と言った方がよい。なぜならば、
そのような行為は何十年もの間、エンエンと続いている
『付き合い場』の「形」を崩すことになるからだ。
よそから嫁いできた若い嫁さんは、先ず、嫁ぎ先の付き合い場を
しっかり覚え込まなければならない。
ちなみに、善藤区で一番若い嫁さんは、二年前まで、
ナ、ナント43才になるウチの女房だった。43だよ、43!!!
女房はウチに嫁いで18年になる。
その間、善藤区には一人もワキャイ嫁さんが入って来なかったのだ!
これって、
獅子座流星群が日本で大量に観測できる周期に匹敵するんじゃないか?
話を戻そう。
その『付き合い場』で収穫の真っ盛りに葬儀でも出ようもんなら
泣きが出るのである。出荷最盛期の3日出労はイタイ。
(不謹慎だが)こっちの方が死にたくなる。
農繁期に葬式を出した当家も悲惨だ。
以後数十年は「付き合い場」の中で語り草の種にされる。
現に、43年前のウチのジイちゃんの葬式は
稲刈りの真っ最中だったため、未だに隣りのじいさんから
「おめぇのジッさまの葬式ん時はヨ〜…」
と言われ続けている。
田舎では、ゼッタイ農繁期に死んではならない。
それが後に残された子孫のためなのだ。
世間話
- あんた誰?
農村では誰がどこの人間か全て分かっている。
誰も自己紹介などしない。
いきなり、話し掛けられ、あんた誰?とも聞けず。(逆に失礼にあたる)
会話は進み、相手が立ち去った後、あの人誰?と他の人に
聞いてメモをしておかなければならない。
その場合、聞いた相手に「ご苦労が無えなあ」という顔をされるのは
覚悟しておかなければならない。
おかげで、この年になってもまだ顔と名前が一致しない人々がたくさん居る(T_T)
もっとも、今時はサラリーマンであれば同世代もしくはもっと年配でも
やはり、あまり知らないでしょう。あくまでも農村内で活動する人が対象となる。
農協、役場、郵便局にお勤めの人々はとーぜん若くてもメチャ詳しい。
逆に、最近、役場の職員が若くなって、何処の息子か分からんと
嘆く老人は増えては来ている。(^o^)
(文・一部、かーちゃん)
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