桃には基本的に、袋をかけないで栽培できる品種(無袋品種)と、袋をかけないと裂果(亀裂が入る)してしまう品種(有袋品種)があります。 袋かけは大変な手間隙を要する作業ですので、無袋栽培品種が多い方が桃農家は助かるわけですが、無袋栽培が可能で食味の良い奨励品種はごく僅かです。 ところで、作業講座は2年ぶりの更新です。前回、摘果までその時期に合わせて作っていたのですが、忙しくなっちゃいまして・・・。 画像は撮っておいたので、この時期に作ってしまおうと・・・思ってます。が。 04/02/21 |
【目的】
【手順】 |
袋かけは満開後、40日〜50日頃から始めます。あまり早い時期に始めると、 遮光により果実の光合成を抑制するため、生理落果を助長させる恐れがあります。(特に白桃系) 生理落果しやすい品種は満開後、50日〜60日頃から始めるのが無難です。 先ず、いろいろな種類の袋をご紹介しましょう。メーカーによって、形状・材質・サイズ・底の 有無など多種多様です。ここに挙げたのはほんの一例です。 これらは一重袋です。 左からアポロ袋、豊作袋、KMP、(名前忘れました、小林製袋さんのKMPと同種のメーカー違い) アポロ袋は基本的に無袋栽培品種に用い、収穫するまで外しません。 豊作袋は電話帳紙のデザインで内側を黒く塗り遮光率を高めたものです。袋はその昔、手作りで電話帳や新聞紙など再利用したのでしょうけれど、何故コピーしてまでそのデザインにこだわったのか意味わからん。 KMPは紙の材質が厚く更に遮光率を高めたものと思われます。 それぞれ除袋(袋を外す)時期は豊作袋で収穫7日前、KMPが10日前(目安)です。あくまでおおよその目安でその時の天候や地域的条件により違います。 一重袋は、除袋時期を見極めるのが比較的容易で、除袋遅れの失敗も少ないですが、 除袋作業に時間がかかります。また、除袋後は果実がむき出しになりますので、 収穫までの病害虫防除には注意を払わねばなりません。 こちらは二重袋です。白いのが内袋で、赤いのが外袋。除袋の際は外袋だけ外します。 それぞれサイズが違っていて 一番左の10と書いてあるのが昨年試験的に導入しました撥水ミニミニ。 2番目が撥水ミニ大。 3番目はそのミニの外袋を外してみました。 4番目が、S−大撥水。 小林製袋さんのピーチ22号シリーズです。 外袋に色がついているのは除袋の見落としを防ぐためです。除袋後も内袋で被っているので、 収穫まで病害虫による被害が少なく、薬剤散布回数も一重袋より少なくて済みます。 また、除袋作業も短時間で終わります。 当園では現在、有袋品種は全てこの二重袋を使用し、除袋の目安は収穫14日〜15日前になります。 サイズは収穫時期に合わせて品種ごとに使い分けます。 [袋のかけ方] 袋の突起部分の片方には強風や薬剤散布時の風・水圧で飛ばされないように しっかり固定させるため、針金(止め金)が取り付けられています。 果実を袋の中に入れ、二つの突起部分を交差させるように重ね合わせる。 片方の突起部分でもう片方に付いている止め金部分を包み込むようにして折る。 包み込んだ側と反対側に止め金を折り曲げ、重ねた部分をしっかり止める。 完成。 桃の樹1本当りの最終着果量は樹齢、樹勢、品種、圃場の土質、樹の仕立て方、 その年の天候などによって異なってきます。同じ圃場の同じ品種であっても、1本1本、 樹の性質が違いますから、それぞれの樹に合わせた対応が必要です。 袋掛けと同時に最終摘果された桃。 最近はこの摘果された桃の幼果の利用法として 甘露煮があるそうです。 さて、袋についてもうちょっと詳しくお話しますと 当園で二重袋を使用する理由については先にも述べましたが、先ず除袋効率のよいこと。 一重袋の破袋に対して、引っ張るだけですから5倍ぐらいは早く除袋作業が完了します。 シーズン中、桃を切れ目無く出荷するには数種類の品種を導入し、品種ごとの収穫期間が 前後に重なりながら収穫を続けます。 従いまして当然、毎日収穫作業と箱詰め作業に追われます。 その合間を縫っての除袋作業である事や除袋のタイミングは猶予がありませんので、この効率のよさは どうしても必要なのです。(ちなみに袋の単価は一重袋の倍になります。当然ながら) あと、やはりなんといっても二重袋は果実の腐敗病に強い事です。 基本的に袋を掛けること自体、菌の感染を防ぐためのものですが、着色を促進させるための外袋を除袋した後も光透過性のある袋が残るので、桃ではもっとも多い収穫間際の雨媒伝染性病害(灰星病等)の発生を格段に押さえる事が出来ます。 つまり、薬剤による防除が少なくて済むわけですね。 灰星病防除のための殺菌剤は当然、収穫前日まで使用可能な登録があるものを用いますが、その薬剤を収穫7日前辺りに散布して、よっぽど降雨が多くない限りそのまま収穫終了までいけます。 これは、雨による果実面からの薬剤の流亡を防ぎ残効の維持と(残留とは別)また、果実に菌が付着していたとしても水分が無ければ発芽(発病)出来ない為です。 さて、今度はサイズの使い分け方について。(あくまでも当園での使い分け方です) もう一度袋を見てください。真ん中の「撥水ミニ」が二重袋としてはもっとも多く使われるタイプです。 左は最近発売された「ミニミニ」。 外袋はミニと同じサイズですが中袋が短くなっているのが分かるでしょうか 右がS-大、中袋外袋ともに大きくなっています。 下の画像はそれぞれの袋を掛け、収穫直前の様子です。 左から、「ミニミニ」を掛けた早生種の加納岩白桃、同じく早生種の「ミニ」を使用したみさか白鳳、 一番右がS-大を掛けた中・晩生種の一宮白桃。 袋によって桃の大きさが違って見えますが、桃自体はほぼ同じ大きさの筈です。 なぜ、同じ桃なのに、それぞれ袋のサイズを変えるのかということなのですけれども。。 これについては次回の【除袋】でご説明致します。 ・・・実はけっこう書いたんですがここで全部載せちゃうと次の【除袋】で書く事が無くなっちゃうのに気が付きました。という訳で今回はこれで。いや、ほんと読み辛くてすいませんでした。m(_ _)m 次回の【除袋】は結構「肝」です。が、そもそも本来、商用サイトでございますから、特にお客様に必要な情報でも無いとも思うのです。。。が、始めちゃったので。講座。。・゚・(ノД`)・゚・。 |