2002年、今年は開花時期に天候に恵まれた事と凍霜害が全く無かった事で着果は良好。
というわけで、摘果作業は大変です。なにしろ、桃の花の数だけ実がなったばやい
とんでもないことになる訳ですから摘蕾に引き続いて摘果という適正最終結果数に向けて
調整をするのです。よーするに落とすのです。(ンなことわかる。ども^^;

雨上がりの幼果
目的

高品質な果実を出来るだけたくさん収穫する為に樹勢や土地条件などを勘案し
適正結果数の調整を段階的に行う最終作業。



手順


こちらは満開から10日目あたりでしょうか
落花後、受精した桃が膨らみ始めます。

摘蕾、摘花と着果調整作業の後、落花後20日目ぐらいまでに予備摘果。

桃は夏果実ですから、りんごや柿のように、秋に収穫するものと違い、栄養成長(樹の生長)と生殖成長(果実の成熟)が同時に進行しますから、早めに結果調節を始めて新梢や新葉展開を促し、且つ、段階的に摘果を行うことにより、良果の選別や過剰な果実に対する養分の供給を抑制しつつ、満開100日前後で収穫する果実を高品質なものに仕上げるのです。(読むのに疲れましたね^^;) 予備摘果の段階では最終結果数の2〜3倍程度の目安です。理想をいえば、1.5倍ぐらいでしょうが、まだ小さいですし、なかなかそうは落とせません。でし。

満開後40日目あたりまでに仕上げ(本摘果とも)摘果となります。(とはいっても、面積が広いと思い道理にはいきませんが)下の画像は、満開後30日ぐらいです。摘蕾をしてもまだこんなに着いていますね。予備摘果をやり落とした枝です・・・。(私は具合が悪くなります-_-; )

前年の貯蔵養分を消費しつつ開花、受精、新梢を伸ばし、完全な新造成養分(新葉の光合成)による栄養成長に移行(栄養転換期)する準備が行われます。(なんじゃそら^^;)

果実は満開50日ぐらいまでの第一肥大期に細胞分裂が進みます。(だから?)
この時期までに細胞数が決定し、それ以降今度は一つ一つの細胞が肥大します。(という話です。^.^)
ですので、ここまでの摘果作業がこの後の果実の生育を左右するわけです。とはいっても、それだけで決まるものでもありませんし、早く落としすぎても、核割れ(後述)、変形、果肉先行生理落下を助長するということもあるのです。つまり!!、いいかげんなように見えて実は土地条件やら樹勢やら観つつ、労働力の配分も考え作業は進むのです。(ほんとかー^^;

えーと、仕上げ摘果の具合は下の画像です。
そうそう、結果数の目安として、枝を長果枝(30cm前後)に1〜2個を枝の中心付近に、中果枝(20cm前後)は1個、短果枝(15cm前後)は枝5本に1個ぐらいが目安です。厳密にいうと、結果枝の切り詰めなど行っている場合は、枝の太さも考慮に入れます。それから勿論大きくなった時の日の当たり具合や、スレなどもイメージしての着果や、樹冠上部と下部でも結果数の配分は違います。(ま、ここいら詰まるとこキャリアです。なんちゃって)


左は長果枝、上の画像と同じ枝です。
とりあえず、本摘果、この後、時期が早いと仕上げ摘果
を行い、見直し摘果。有袋品種は袋掛けで見直し摘果となります。

右は中〜短果枝、一個にします。


かーちゃんが走っております。
何故か。双胚果を探しにいったのです。そもそも、この講座こんてんちは、女房:「少しはマジメなコンテンツもやんないとダメでしょー」私:「ほ、ほ〜い」という訳で始めたのでかーちゃんも熱心です。
(ちなみにページ上ではかーちゃんとか言っていますが、普段はお互い名前で呼んでおります。家内は敬称つけて、そんなこたーどーでもいいですよね)



で、双胚果というのは何かと申しますと、桃の種の中にある胚が二つ有るものをいいます。この果実は省かなくてはなりません。胚は硬い核(これを種と言いますが)の中にありますがこれが二つ有ると核が割れたり、生理落下の原因になるのです。
核が割れるとどうなるか・・・果実も変形、ひどいものは果肉も押されて割れ枝の付け根が口を開け、雨水も染込み、内部から腐敗する場合も出てきます。
核割れの原因は双胚果が全てではありませんが、確率は間違いなく高くなるわけです。

桃は前述の第一肥大期の後、第二肥大期、第三肥大期と分かれます。第二肥大期とは硬核期にあたります。この期間は果実の肥大は遅くなり、核(種子)の成熟期間と申しますか核が硬くなる期間です。桃が品種によってほぼ同時に開花しながら、早生種、中性種、晩生種と収穫時期が違うのはこの硬核期(第二肥大期)の長さによって決まるのです。(そんな事知ったって…と思っていますね、全くです)ということは、早生種はこの硬核期間が短いわけですから、この期間中の栄養転換がタイミングよく行かずに養分の供給が過剰ですと、核が未成熟で核割れや、生理障害を招きやすいのです。したがって、早生種は厳しい条件ですので食味のブレ等が製品としても多くなる可能性が高いのです。つまり、中性種以降の方が品質的には安定しているのもこのためです。(まーしかし、早い時期に美味しいものを食べたいのが人情でございます。^.^)

では、横道にそれましたが双胚果を観てみましょう。




さて問題です。どちらが双胚果でしょう。

答えは、左です。

大きくて、丸くて良い物に見えるほうが、双胚果という訳です。

エッ、エェーッ!(・・・ありがとうございます^^;

切ってみましょう。

二つに切った左の果実には確かに胚(中心の白い皮の半透明の物)が二つ有ります。
ちなみに、その周りの切って空気に触れたから茶色く変色していますが、この時期はまだ白い部分が核で、この部分が硬核期に硬くなって色も褐色に変わってきて成熟した種子になってゆくのですが、双胚果では、途中で割れてしまったりするのです。



これは、また別の双胚果ですがこんな入り方もします。

見分け方は、縫合線を挟んだ左右が対象で丸く大きいものが双胚果ということになります。
正常果は左右が6対4ぐらいで縦長です。


品種や年によっては、殆ど双胚と言いたくなるほど多い年もあるので厄介です。

従いまして、慣れない方(栽培を始めて間もない方)や手伝ってもらう場合などはこの見分け方を知らないと、逆に双胚果ばかり残してしまう事にもなりかねませんので、注意が必要です。

如何でしょうか、摘果について詳しくご説明してみました。そういえば、先日、桃の栽培を始めたばかりだとおっしゃる方にメールを頂き、袋掛けの事などお尋ね頂きました。今更、摘果についてお話しても遅かったですね。ごめんなさい。

このところ、仕事に追われ、朝は早く、夜は寝なければならず。となれば、お酒もちょっぴり呑まねばならず・・・更新が滞りがちでございます。(Life 風になってしまいました。

なんちゃって摘果講座でしたーーー。






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